「○○はオウンドメディアとして成り立つのか?」という視点で、今回取り上げていくのは「サッシ・玄関」です。
以前、似たようなジャンルで「住宅建材」を取り上げましたが、大まかな見解は変わりません。
- カタログ系なのか?ライフスタイル系なのか?
- 商品を主役にするのではなく、コンセプトを主役にする。
今回は、住宅建材の中から「サッシ・玄関(外回りの建具)」という分野に絞って、深掘りしていきます。
「サッシ・玄関」だけに絞り込むと、かなり厳しい・・・
結論から挙げると、「サッシ・玄関」だけを中心にしたオウンドメディアを成り立たせるのは、かなり厳しいでしょう。建材という大きなカテゴリの中の一ジャンルなら、成り立たせやすいですが、「サッシ・玄関」だけとなると、自社商品という壁を外さない限り難しいと思われます。
なぜなら、、、
多様性に乏しい
サッシも玄関戸も、他の建材と違い、シェアの構図が独占とまではいかなくとも、それに近い構図です。住宅に限ると、さらに絞られてきます。そういう構図になると、競争が少ない分、商品に多様性がなくなり、既成品ばかりで、似たり寄ったりな商品が多くなります。外壁の様に商品数が多ければいいのですが、サッシや玄関戸はそこまで多くありません。
多様性がなく似たり寄ったりということは、情報としても差を伝えづらく、商品を中心としたメディアにしてしまうと、魅力的なものになっていきません。
住宅を構成するいちパーツにしかすぎない
さらには、販売元が一般の方に直販する仕組みではないこともあり、一般の方もそこまで意識している分野ではありません。家全体や雰囲気は気にしても、「サッシはこれ」「玄関戸はこれ」と商品を指定するほど、こだわりのある方はほとんどいません。
つまり、大半の方は、家を建てる決め手になるのは、施工会社や設計者であり、「◯◯を使っているから」という建材が決め手になる方は、ほぼ皆無です。そして、施工する会社が提案する仕様を受け入れて、進めているのが現状です。施工店がA社のサッシや玄関戸を標準仕様にしていたなら、多少変更があったとしても、A社の中から選択することがほとんどです。
施工店側にしても、サッシや玄関戸だけの情報ではなく、他の情報も収集したいわけですから、施工店側にとっても「サッシや玄関戸」だけに絞られると、不便になってしまいます。
垣根超え&体験情報&世界観が差別化の鍵
厳しいながらも可能性を考え、「サッシ・玄関」だけを中心にした情報発信をしたとしましょう。
- お困りごとや不安を解決
- 事例
- メンテンナンス方法
などが切り口になることでしょう。ただ、これらは基本的なポイントなので、どの会社も押さえるため、これだけで差を付けていくには不十分です。
これからを考えていくと、下記の3つを意識してほしいところです。
- 垣根超え
- 体験情報
- 世界観
垣根超え
垣根超えには大きく分けて2つあります。
- ジャンルの垣根を超える
- 企業の垣根を超える
ジャンルの垣根とは、サッシや玄関戸という商品だけでなく、周りも取り上げるということです。
例えば、玄関周りなど、下記のような視点です。
企業の垣根とは、取引先など関わりのある人へのインタビューなどです。サッシや玄関戸の重要性など、他社のプロからの評価などが挙げられます。
その他には、ライバル企業との比較も注目を集めやすいです。似たり寄ったりに思われがちな業界ほど、効果的なのですが・・・
体験情報
「サッシ・玄関」という伝わりづらいものは、「体験」を伝えたり、「体験」へ導くことが効果的です。これは、サッシ・玄関に限らず、造形物(建築物)が武器になる住関係には言えることです。
例えば、下記のような体験情報は、実際に取材しているためオリジナル性もあり、非常に参考になります。
世界観
「世界観」と言うとふわっとしていますが、「商品を主役にするのではなく、コンセプトを主役にする。」ということでもあります。世界観がないということは、魅力的な統一性がないということです。
世界観のない情報とは、「Aもあるよ」「Bもあるよ」「Cもあるよ」というように、なんでも揃ってるよということです。物がない時代の一昔前はそれで良かったのですが、物余りで類似品も多く存在する中では、魅力には繋がりません。
例えば、ムジラーというコアなファンが存在するほどの、強烈なコンセプトがある無印の家の玄関ドアは、下記のような感じです。見ただけでも、無印っぽさを感じます。
例えば、「お、ねだん以上。」のニトリが、サッシ・玄関戸を開発したとしたら・・・最高最新性能というよりは、コスパ重視な商品になりそうだと思いませんか?
そんな風に、世界観があると、商品の方向性が明確になります。世界観はブランドでもあり、一朝一夕でできあがるものでもありません。なので、まずは、オウンドメディアを立ち上げる際は、主役になるコンセプトを探していきましょう。