1.代理店戦略は必要な理由
現代の厳しいビジネス環境下、多様化する消費者のニーズに対応するためにも、企業が単独で全てを手掛けることは困難になってきています。特に、成長期市場に於いて、代理店戦略は、企業が競争力を維持し、成長を遂げるための重要な戦略となっています。
一方、最終顧客は、Webサイトで情報収集することが日常化していて、商品理解が深いことも多くなっているため、一層、代理店や傘下販売店への商品や提案力強化を行うことが急務になっています。
メーカーの代理店戦略の目的は、自社ではアプローチの限界がある中でさらに拡販を図ることにあり、そのためには、代理店を単なる仲介販売流通会社という位置づけではなく、個々の代理店ごとに、当該メーカー商品を扱いたいと思う理由を明確化し、それを実現する必要があります。
代理店のニーズの本質は、商品を仕入れて売りたいわけではなく、顧客の課題を解決することにあります。従って、個々の代理店ごと独自のサポートメニューを創ることによって、既存商材では解決できていない顧客の「不満・不安・不便」を解消する新たな価値を提供し、最終的に、競争優位を得られ、メーカーと代理店両方の事業成長に貢献するために取り組むことが重要です。
2.代理店育成の課題と解決策
代理店育成の主な課題とその解決策について考えます。
①代理店の成長スピードによる差異
代理店のビジネス成長には、代理店自身の努力だけでなく、企業メーカーからの支援が重要です。しかし、代理店の成長スピードには差異があり、メーカーが支援を行うタイミングや方法を誤ると、成果だけではなく、代理店との信頼関係が損なわれることがあります。
解決策としては、メーカーと代理店が定期的にコミュニケーションを行い、代理店のビジネス成長状況を把握することが重要です。また、代理店の売上状況やニーズを定量的に可視化し、課題に応じた、個別の支援を行うことで、代理店の成長を促進することができます。
②代理店とメーカー間のコミュニケーション不足
代理店とメーカーとのコミュニケーションが不十分だと、代理店がメーカーの方針や戦略を把握できないことがあります。また、メーカーも代理店の課題やニーズを把握できないことがあり、代理店育成に支障をきたすことがあります。
解決策としては、メーカーと代理店が定期的な会議を行い、また、連絡と報告体制を整備することで、メーカーが代理店のビジネス状況を把握し、適切な支援を行うことができます。
③競合他社との価格競争や市場環境の変化に対応する能力不足
代理店は、競合他社との価格競争や市場環境の変化に対応する能力を持っていることが求められます。しかし、代理店がこれらに対応するための能力不足がある場合、ビジネスの成長を妨げることがあります。
解決策としては、代理店に対して市場動向や競合他社の情報を提供し、代理店が適切な戦略を立てられるように支援することが重要です。また、研修や教育プログラムを提供し、目標と実績のPDCAを回すことで、代理店の能力向上を促すことが可能です。
④個別対応の体制整備
代理店の成長を促進するためには、代理店ごとに個別の支援が必要です。しかし、メーカー側には、多くの代理店を抱えているため、個別の支援を行うことが困難な場合があります。
解決策としては、代理店ごとに担当者を配置することで、代理店のニーズに応じた個別の支援を行うことができます。また、代理店支援部門を設置し、代理店とのコミュニケーションを強化することも重要です。
⑤共同の市場調査や分析体制の整備
メーカーと代理店が協力して市場調査や分析を行うことで、より正確な情報を得られ、適切なエリアや商圏に応じたプロモーションを実施することができます。
そのためには、メーカーと代理店が共同で市場調査や分析を行う体制を整備することが重要です。また、メーカー側からの市場情報提供や代理店からのフィードバックを受け入れる仕組みを構築することも有効です。
3.代理店ビジネス成功のための5つのポイント
代理店ビジネスの難しさは、やるべきことが非常に多く、しかも、それを継続的に運営し続ける必要がある点です。
代理店ビジネスは、一般的に、説明が難しい商品が多く、 教育コストが想定以上にかかることもあり、代理店すべてが成功しているとは言えないようです。
代理店を育成し、関係を築き維持するには、戦略の策定、目標・予算の共有、研修、営業体制の整備、支援など、多面的な対応が求められます。こうした仕組みが整って初めて、代理店が早期に成果を出し、収益化に向かいやすくなります。また、運用面では、定期的なミーティングや個別の相談や質問対応、情報共有の仕組みづくり、ノウハウや成功事例を蓄積・展開できる体制を整えることも欠かせません。
代理店ビジネスを成功させるため、次のポイントを考えます。
①自社の強みを知る
②自社に合った代理店を選ぶ
③代理店をよく理解する
④代理店の教育・支援を充実させる
⑤定期的なコミュニケーションをとる
①自社の強みを知る
代理店に扱ってもらう上で⼤事なことは、⾃社製品の良さを伝えるのではありません。例えば、製品・サービスの市場認知が低い場合、ノウハウがなく、代理店側からすると相当のスキルとノウハウが必要になります。そこで⼤事なのは、自社の強みを伝え、そして「どれだけ売りやすい商材か」を理解してもらえるかということになります。
一般に、代理店と相互に⽬標設定を合意し戦略的に取り組んで⾏きたい時でも、既に同様の商材を取り扱っている場合は、同じようなカテゴリのサービスを取り扱いたがりませんので、⾃社製品・サービスの良し悪しだけではなく、市場シェアや市場での⽴ち位置などを含めたコンセプトや設計思想など、⾃社の強みと他社優位性をメーカーとしての語れるメッセージとして提案する必要があります。
単なる、機能説明ではなく、当該代理店が取り扱っているソリューションとの親和性や顧客(施工店やユーザー)の課題ごとの提案の切り分け⽅などを提案すると、代理店の中でも商材のポジショニングが整理され、新規に取り扱っていただきやすくなります。
②自社に合った代理店を選ぶ
代理店ビジネスを成功させるためには、代理店企業の選び方も非常に重要になります。
代理店チャネルの成功は、代理店の選定に大きく依存し、成功可否の50%はターゲティングにかかっているともいわれています。
代理店企業の選択の段階で、よく見られる失敗例として、とにかく代理店獲得数を目標として重視したものの、その後、契約した代理店は傘下の販売店・施工店のネットワークや営業担当者を十分に動機づけられず、「契約に時間をかけたが、実際の稼働には至らなかった」というケースです。
単に大手と契約することを目標とするのではなく、現場の営業担当者にまでしっかりと動機づけを行い、実際に販売活動に移ることができる代理店をターゲットにすることが重要です。
例えば、自社と相性の良い代理店企業選択の基準は以下です。
・自社と事業目標が合致しているか
・自分の企業にはない知識・技術・顧客をもっているか
・自社の長所を相手企業に価値として提供できるか
・自社の短所や欠点・不足するリソースなどを補えるか
・導入支援やサポートで代理店の新しい付加価値が創り出せるか
・新規顧客へのアプローチや既存顧客へのアップセル・クロスセルで、相乗効果を出せるか
・新規ビジネスを⽴ち上げ、新規商材を販売しやすい環境をつくれるか
(企業側も代理店社内の評価制度まで理解し最適な提案をする必要がある)
・お互いの長所や共通の目標を持って製品やサービスの開発に取り組める
・長期的な関係を築くための信頼関係を構築できるか
注)代理店企業を選ぶ際には、自社の特徴や代理店ビジネスの目的を明確にした上で、代理店候補企業の長所や弱点、事業の特徴や目標などを深く理解している必要があります。
その分析をもとに、代理店企業に具体的にどのような知識やノウハウを求めるのか、自社がどのようなメリットを提供できるのかを考え、代理店候補となる企業の条件を定めます。
③代理店をよく理解する
一般的に代理店セールスでは、企業間で協業するため、どうしても、代理店の組織別機能や現場営業の人数、営業目標・戦略、業務の進捗状況といった重要な営業関連情報が不透明になり、「課題を特定できない」という問題が生じ、そのため、効果的な改善提案ができず、結果として「案件の紹介をお願いします」や「勉強会の実施をお願いします」といった一般的な依頼にとどまり、より具体的なサポートを提供できない問題があります。
代理店ビジネスでは、代理店に対する理解が不可欠です。契約締結から間もないうちは、ミーティングの機会を多めに設け、代理店のビジネスモデルや現状、本質的な課題、代理店ビジネスに求める期待(営業担当のフォロー程度や販促ツール、コンテンツ、商談サポート体制、インセンティブ制度など)などをヒアリングします。
(場合によって、別途、事業課題の本質的な明確化とその解決支援も必要になる)
また、代理店のエリア特性の違いに合わせて、顧客属性や競合メーカーなどの違いを考慮した戦略を⽴てる必要もあります。
④代理店の教育・支援を充実させる
代理店ビジネスを成功させるためには、自社が代理店を深く理解するだけでなく、代理店にも自社の事業や製品について、よく理解してもらう必要があります。定期的なカテゴリーやテーマごとの研修や勉強会などのコンテンツを活用します。また、代理店ごとの社内課題や要望も踏まえ、個別メニューも企画運営します。
⑤定期的なコミュニケーションをとる
商品の機能や価格などで競合との差別化を図りますが、代理店との関係の基本は、「コミュニケーションしやすい」ことが重要になることです。
代理店は自社とは別の企業であるため、定期的な情報共有を行わなければ、知らないうちにお互いの状況が大きく変わってしまい、パートナー関係の維持が難しくなってしまう場合があります。また、代理店が抱える課題や問題点に早急に対処するためにも、代理店社内の状況をよく把握しておくことが大切です。
代理店との良好な関係を維持するために、専任の担当者を早めに設置してもらいます。専任者がいれば、代理店契約に関して正確に把握し、こまめな連絡や確認をすることができます。
代理店の満足度を評価するときは、責任者や社内アンケートのほか、研修会などのイベント参加や資格取得、キャンペーンなどの施策の積極度などの指標を使います。
4.メーカーの代理店戦略の概要
代理店からみると「⾃分たちの顧客(施工店やエンドユーザー)を横取り(直取引)するんじゃないか?」といった不安があります。このような状況では、企業は製品・サービスがどんな顧客にどのようなニーズがあるかといった情報が⼊⼿できず、新たな製品・サービスの開発や、各種施策にも悪影響が出てきます。
また、顧客との接点を代理店だけに任せてしまうことにより、潜在的な需要を⾒逃してしまうことが⽣じます。地域や顧客に関する情報を企業と代理店とで共有し、相互の役割分担を明確にしながら、協⼒して地域や顧客に対して働きかけていくことが重要となってきます。
代理店パートナー戦略の概要を以下、考えてみました。
代理店パートナープログラムの概要
1.仕切り価格の設定
⼤⼿代理店になると外部商材の取扱に関しては最低利益率を設定している場合もあり、⼀定の利益が⾒込めない商材は 取り扱ってもらうことができません。直契約の1次代理店への仕切り価格の定価に対する割合は 50〜70%と想定されます。
2.年間販売目標の設定
新規に取り扱ってもらう場合は、代理店ごとに販売⽬標を合意しておく必要があります。年間⽬標を設定し⽉次で進捗確認を⾏い、計画より下振れする⾒込みであれば、早期にリカバリの提案を⾏い修正していきます。 年間⽬標をクリアした場合のインセンティブとクリアできなかった場合のペナルティを設定することもあります。
3.支援体制
代理店への支援概要は多岐にわたりますが、基本的な支援内容は以下になります。
■代理店の担当者向け研修トレーニング
製品・サービスをこれから取り扱おうという時には、代理店側で製品・サービスを社内に広めてくれる「旗振り役・⽀持者」となる担当者が必要です。代理店責任者や特定の部署・チームになるかもしれませんが、これから取り扱ってもらおうという時には代理店の誰かに指揮をとってもらわないと拡販が進みません。
旗振り役が決まったら、製品・サービスに関する⼀定のスキルを⾝につけてもらい、社内に広めてもらう目的のために、担当の⽅向けに研修トレーニングを数日間実施します。
代理店が新規の商品を提案するためには、以下の3つを理解する必要があると言われています。
●商品サービスの理解:サービスの価値や類似製品との比較についての理解
●ターゲットの理解:ライフスタイルやニーズ、課題などの理解
●営業手法の理解:トークや手法など、セールスアプローチの理解
■代理店向け勉強会
これから新規に⽴ち上げで取り扱ってもらうときには、少⼈数のほうが質疑も活発に⾏われるため、なるべく少⼈数単位で複数回実施します。質疑対応を活発に⾏うと記憶に残りますので、⼿間がかかっても少⼈数単位で⾏います。
最終的には、代理店が自社商材を「提案可能な状態」になることを”代理店の個人単位”で目指します。
初期段階では、キーマン(パートナー企業内で影響力を持つ人物)を特定し、そのキーマンが社内で結果を出すことに注力します。その後、成果が出た営業の知識やノウハウを型化し横展開していくことがポイントとなります。
■代理店向け定例会
メーカーが代理店経由の顧客のニーズを取得することは、難しい場合が多いですが、一方で代理店向け定例会を通じて、メーカーが顧客(施工店やエンドユーザー)のニーズを把握することができる場合があります。代理店向け定例会で顧客の要望が共有された場合、メーカーと代理店は、より顧客に応えた製品提案やサービス、製品開発やマーケティングを行うことができます。
■内覧会
これは、「代理店の社内向け」と「代理店の顧客向け」の2パターンあります。
まず、代理店社内に周知してもらう必要があります。
⾃社製品・サービスを知ってもらわなくては、代理店の営業にアウトバウンドで顧客に提案してもらうことができません。
■商品販促ノウハウの提供
販促コンテンツの提供によって、代理店は、より効果的な販売活動を行うことができます。メーカーが定期的に提供する販促ツールやキャンペーン、採用事例や比較表、施工・デモ動画などのマーケティング資料を活用することで、代理店は製品やサービスの魅力を顧客に伝えることができます。
営業資料は、メーカーが提供する商品やサービスについて、詳細な説明や特長、メリットなどを記載したもので、代理店がセールスポイントを伝えるために欠かせないツールであり、顧客の購買意欲を高めることができます。また、営業資料は、顧客に商品やサービスをアピールするだけでなく、メーカーや代理店の信頼性や実績をアピールするためにも重要な役割を果たします。
メーカーの営業活動で使用している資料の最新版を、代理店にも営業資料を通して提供することが重要です。
代理店の売上=メーカーの売上に繋がりますから、他社だからといって情報に制限をかけるのでなく、協業するスタンスを見せることで、代理店の売上向上や信頼性の向上にも繋がります。
また、顧客に提供する製品・サービスに他社優位性がなければ、顧客に紹介する代理店も当該製品・サービスを紹介しづらくなりますので、機能説明ではなく他社優位性をアピールできることが⼤事です。
■プロモーション支援
セミナーや展⽰会、キャンペーンなどの定期的なプロモーション支援は、⼀緒に顧客開拓をする活動と言えます。メーカーが実施するキャンペーンの内容や期間、特典などを記載した情報を網羅的にかつ最新の情報を提供できる体制を整備しましょう。
また、キャンペーン資料は、顧客に対して、商品やサービスの購入を促進するためのツールであり、期間限定の特典や割引などをアピールすることで、顧客の購買意欲を高めることができます。
■販売コンテストの実施
特に、新商品や重点商品については、導入期や最需要期に集中的な拡販施策を行うことが重要です。代理店との共同販売コンテストとして、対象商品、期間、報奨ルール、特典のほか、補足するキャンペーンやコンテンツの提供、期間中の中だるみ防止策などと連動することが重要になります。
販売コンテストの実績発表は、メールやFAX、専用サイトでの告知など対象に合わせて個々の参加店別の実績(全国やエリア、商品別などの目標達成率を周知します。
また、回を重ねてくると実績順位が固定してしまいますので、販売実績以外の評価項目を追加したり、現場担当を対象とするなりして報奨ルールを改善することも必要です。
■商談同行
メーカーの担当者が代理店の営業活動に同行することで、代理店の販売力向上につながることがあります。商談に同席することで、メーカーが提供する製品やサービスについてより詳細に説明し、代理店が顧客に提供する価値を高めることができます。ただし、営業⽀援で案件同⾏を求められる時に、全国を出張対応で⽀援するには効率が悪いので、同⾏⽀援する際のルールや基準(採用度や規模など)を設けることもあります
■インセンティブ
例えば、新規商材において、代理店が積極的に販売に取り組むための動機や仕組みが十分に整っていないことが課題となっていることがあります。
販売時にインセンティブがある場合でも、売れるかどうかが不透明な新商材に対しては、既存の商材と比較して優先順位が低くなりがちです。
さらに、代理店の現場営業は、新しい商材に関する研修や成約に至るまでの明確なプロセスが不足しているため、具体的な販売活動に移るための動機付けが十分にされていません。その結果、新規契約した商材が思うように販売されない状況が続いてしまいます。
代理店ビジネスを始める上で代理店のモチベーションを⾼めて、継続的に販売してもらうためにはインセンティブ制度の工夫が必要になります。
代理店の営業担当者に、自社商材を積極的に学び、提案するための動機付けが重要です。具体的には、以下のような販売プロセスを評価するインセンティブが効果的です。(別途、提案や成約についても検討する)
●企業単位の例: 契約締結から1カ月以内に営業担当の80%がトレーニングコースを受講した場合、受 注時の手数料率をアップする
●営業担当の例: 契約締結から1カ月以内に対象のトレーニングコースを受講した場合、ギフトを提供す る
インセンティブを設計する際に重要なのは、「企業と営業個人それぞれの視点に分けること」と「期限を設けること」です。これにより、組織全体と個人の両方に対して明確な動機付けができ、目標達成に向けた行動を促すことができます。前者の例では企業全体のパフォーマンス向上を、後者の例では個人のモチベーション向上を意識した設計です。
進捗が遅れている担当者を特定した後は、トレーニングの受講を促したり、トレーニングが遅れている担当者が一定数蓄積してしまった場合には、期間限定のキャンペーンを実施し、インセンティブを付与するなど、積極的にフォローアップを行い、進捗を促進することが重要です。
代理店の営業成果を促進するために、販売プロセスにおけるインセンティブプログラムを用意し、社内外の担当者に共有することで、他のパートナー担当者にも成果を促す活動につなげましょう。
また、例えば、アクティブ率が大幅に下がったタイミングで、既存の成功している代理店担当者のナレッジを共有することで、新規キャンペーンを実施し、稼働率を改善させることができます。代理店が自発的に行動を起こすよう促すサポートが効果を発揮しましょう。
■表彰制度
表彰制度は、代理店の動機付けを高める効果があり、代理店個々に対するプライド付けになります。
評価基準を売上実績だけだと上位ランクが固定化するため、昨対比伸長率、商品別売上実績、目標達成率、エリアや会社規模別の実績、販売プロセス指標、採用事例の協力、資格獲得数、顧客満足度、個人実績などで評価します。
■代理店向けのポータルサイトの活用
代理店向けのポータルサイトを作成することで、代理店が24時間最新の情報を取得することができます。代理店の個々の担当別にアカウントを発行することで、誰がいつどこにアクセスしたかなど、代理店担当別の行動履歴を取得することができ、適切なタイミングで具体的な代理店への支援を行うことができます。
最近では、自社で代理店むけのポータルサイトを開発するのでなく、PRMツールという代理店への支援を網羅的に解決するツールも登場しています。
■リード情報の提供
代理店に対して、案件をもらうスタンスだけではだめです。代理店も新規で取り扱ったものの、本当にニーズのある製品・サービスなのかを判断するのは中々難しいです。ですので、最初はメーカーに問い合わせのあった案件を紹介することによって、代理店は効率的な営業活動を行うことができます。
5.企業メーカーの代理店戦略の実態評価の方法
メーカーが代理店パートナー戦略の取組みの程度を定期的に評価することが重要です。以下は、実態評価の一例です。
1)WebやIR、定期情報などで、パートナーの事業や組織の理解、直近の業績傾向の把握ができ、代理 店パートナー活動の影響度などを図っているか
2)パートナーの事業成長への貢献要素をアピールし、自社と組むことで業績貢献することを理解して くれているか
・各部門のミッション理解・各事業のトレンド理解
・セールス&マーケの手法や顧客開拓手法の理解
・協業スキームの提案やパートナーの動き方に合わせた自社プロダクトの拡販手法の提案
また、目指すべきパートナーシップを組織と個人に分けて考えることも重要です。こちらはKPIなどの定量的なものではなく、関係値で見た場合の定性的な状態を指します。
【組織の場合】
・レベル1:案件があれば紹介してくれるか
・レベル2:組織単位で注力して販売活動をしてくれているか
・レベル3:会社間で年間目標をクリアするための行動計画が合意できている
【個人の場合】
・レベル1:見積もり依頼だけで終わっていないか?→ 案件見積もりだけで、案件進捗が見えていな い
・レベル2:自社領域に関わる相談をしてくれるのか?→ 自社領域で解決できそうな相談をもらえて いる
・レベル3:自社領域に関わらない相談をしてくれるのか? → 自社領域に関わらず顧客課題段階で 相談をもらえている
6.コンテンツマーケティングとの連携
コンテンツ作成上で重要な注意点があります。
1.顧客理解ができていないまま作ったコンテンツは、誰向けなのかが曖昧な内容になり誰にも響きま
せん。自社のターゲット像を詳細に設定することが必須です。
2.コンテンツ作成を優先するあまり、「作る」ことがゴールになってしまう。その結果、顧客の課 題 に答えられていない、求められていない情報がコンテンツ化され、成果につながらない。
契約の当初には、販促ツールやコンテンツなどの⼀式を渡すと思いますが、それで終わってしまうと真新しさが次第に薄れていくので、定期的に、販促コンテンツをメンテナンスして代理店にアナウンスします。次に、代表的なコンテンツマーケティング手法をご紹介します。
①共同制作コンテンツ
代理店と共同で、ブログ記事、ホワイトペーパー、ウェビナー、動画などのコンテンツを作成します。互いの専門知識や視点を活用することで、より魅力的で価値あるコンテンツが生まれ、両者のブランドにプラスになります。
②コンテンツのクロスプロモーション
パートナー企業と協力して、互いのコンテンツを共有し合い、それぞれのウェブサイトやソーシャルメディアでPRします。これにより、より広範なオーディエンスにアプローチできます。
③FAQの提供
メーカーは、代理店から寄せられるよくある質問に対して、FAQ(よくある質問)を作成して提供することがあります。
FAQには、代理店が商品やサービスに関する疑問を解決するための情報が記載されており、代理店が顧客に対して適切なアドバイスを行うための重要なツールとなります。
代理店がよく寄せる質問には、「商品やサービスの特徴は何ですか?」「価格はどのように設定されていますか?」「納期はどのくらいかかりますか?」「施工方法は?」「提案方法や使用するツールは?」「他社商品との比較は?」などがあります。メーカーは、これらの質問に対して簡潔かつわかりやすい回答を用意し、代理店に提供することで、代理店が顧客に対して適切なアドバイスを行うことができるように支援します。
また、FAQは、代理店が自社のポータルサイトに掲載することができます。顧客は、代理店のポータルサイトを訪問することで、商品やサービスについての疑問を解決することができ、代理店の信頼性が高まることにつながります。
FAQは、代理店が顧客に対して的確なアドバイスを行うために欠かせないものであり、メーカーが提供する販促支援の一つとなっています。
④ケーススタディや成功事例の共有
代理店との連携による成功事例やケーススタディを作成し、お互いのウェブサイトやマーケティング資料で紹介しましょう。これにより、提案力や集客力などが向上し、新たな顧客獲得につながります。
⑤インフルエンサーマーケティング パートナー
企業と代理店がインフルエンサーや業界の専門家と協力し、共同コンテンツを作成したり、製品やサービスのレビューを依頼したりしましょう。これにより、提案力や集客力が高まり、ターゲット顧客にアピールできます。
⑥イベントやウェビナーの共催
代理店と共同でイベントやウェビナーを開催し、互いの顧客(施工店やエンドユーザー)を集客します。顧客は、専門知識を持つ複数の企業が一堂に会することで、関連する情報や知識を一度に入手できることが魅力的です。さらに、両者のブランド認知度やリーチを拡大し、新たな顧客との繋がりを築くことができます。
⑦コラボレーションイベントの開催
代理店施策では、コラボレーションイベントや共同プロモーションが効果的です。共同セミナーや展示会、ウェビナーなどを開催し、相互の製品やサービスをアピールしましょう。また、共同で割引や特典を提供することで、顧客獲得の促進や顧客満足度の向上が期待できます。
⑧成果の測定と改善
パートナー戦略の成功を確認するためには、定期的な成果の測定と改善が重要です。代理店サイトに於けるアクセス数や回覧数、セールス、ウェブサイトのトラフィックなど、具体的なKPIを設定し、パートナー企業と共有しましょう。そして、データ分析を通じて、戦略の効果を評価し、改善策を検討します。
以上の方法を活用して、代理店戦略とコンテンツマーケティングを連携させることで、両者のブランド価値を向上させ、顧客の獲得やエンゲージメントを高めることができます。代理店との密接なコミュニケーションや協力体制を築くことが、成功への鍵となります。
コンテンツの効果測定と改善方法
①成果を可視化する指標の設定
販促コンテンツの効果測定にあたっては、アクセス数や活用度・評価など、成果を可視化する指標を設定することが重要です。これによって、コンテンツの効果を数値化し、改善点を洗い出すことができます。この時、評価方法はすべてWeb上で行うなど、成果を可視化するための指標を取得する体制を事前に整備することも重要です。
②顧客からのフィードバックの収集方法
顧客(施工店、エンドユーザー)からのフィードバックを収集することも効果測定において重要な要素です。アンケートや各種コンテストなどを活用して、顧客の声を集めることで、コンテンツの改善点を把握することができます。
代理店経由での営業活動は、メーカー視点では見えることができないため、定期的に顧客に対して、「代理店の営業がスムーズに行われたか」「商品説明は理解で来たか」などインタビューすることで、代理店各社の質向上に繋げることができます。
③コンテンツの改善点の分析と修正
効果測定やフィードバックの集約によって、コンテンツの改善点を把握することができます。そして、改善点を分析し、修正することで、コンテンツの効果を向上させることができます。
7.デジタル技術の活用
最近では、代理店向け定例会においてデジタル技術が活用されることが増えています。例えば、オンラインでの開催やプレゼンテーション資料の電子化などが挙げられます。デジタル技術の活用により、開催場所や日程の制約を受けずに、多くの参加者と情報共有が可能になり、例えば、定例会の場で実施することの多かった勉強会といったサービスのインプットする時間をオンライン動画などに置き換えることでメーカー営業担当の工数を削減することができます。
1.代理店向けポータルサイトの目的と効果
代理店を使ったビジネスにおいて、メーカーと代理店とのつながりは重要です。
企業が代理店の営業担当に任せきりのため代理店への情報共有に時間掛かってしまった、逆に代理店側からは、欲しい情報がすぐに手に入らないと不満の声が挙がったことはないでしょうか。そこで、そういった問題の解決手段の一つとして、代理店ポータルサイトの構築と運用が考えられます。
代理店ポータルサイトは、企業が代理店と共有したい情報を一元的に運営管理し、協業活動にとって重要な情報を必要な時に容易にアクセスできるオンラインの情報共有プラットフォームであり、代理店とのパートナーシップを強化し、代理店の成功を支援するための重要なツールといえます。
代理店ポータルサイトのコンテンツとしては、新製品情報、マーケティング資料、販促ツール、価格情報、提案資料、教育資料、技術サポート、インセンティブプログラム、取引状況等の情報を共有するための場として活用され、また、代理店担当者が必要な情報をすばやく見つけ、問題を解決し、メーカーとのコミュニケーションを維持するための検索機能、フォーラムや掲示板、サポートセンター、共同プロジェクト管理などのインタラクティブな機能も備えています。
2.代理店ポータルサイトの主な機能
①情報共有: 企業は代理店向けに製品情報、販売戦略、マーケティング資料、研修資料などを提供しま す。これにより、代理店は企業の最新情報を容易に入手し、ビジネス活動に役立てることができます。
②コミュニケーション: 企業と代理店間のコミュニケーションをサポートする機能が含まれています。 例えば、チャット機能やフォーラムを通じて、企業と代理店が気軽に情報交換や相談ができる環境が 整います。
③研修やサポート: 代理店ポータルサイトでは、オンライン研修やウェビナーを提供し、代理店のスキルアップを支援します。
④業務管理: 代理店ポータルサイトでは、受注管理や在庫管理、納品スケジュールの確認、売上報告な どの業務を一元化することが可能です。これにより、企業と代理店の間の業務効率が向上します。
3.代理店ポータルサイトの活性化方法
①コンテンツの質を高める
最新の製品情報や販売戦略、マーケティング資料など、代理店がビジネスで活用できるコンテンツを充実させます。また、コンテンツは定期的に更新し、代理店が常に最新の情報を得られるようにすることが重要です。
②代理店のニーズに合わせた機能提供
代理店のニーズや業界の特性に合わせた機能を提供することで、エンゲージメントが向上します。 例えば、在庫管理や見積もり作成、注文管理など、代理店が日常業務で使用する機能を充実させること とが求められます。
③継続的なサポートとフォローアップ
代理店ポータルサイトのエンゲージメント向上には、継続的なサポートとフォローアップが欠かせま せん。サイトの使い方や機能に関するトレーニングを提供し、質問や問題に迅速に対応することで、 代理店からの信頼を得ることができます。
④インセンティブ制度の導入
代理店の販売実績などの成果や活動を評価し、報酬やインセンティブを提供することで、エンゲージ メントを向上させることができます。販売実績や目標達成率などの指標に基づいて、インセンティブ を設定し、代理店のモチベーションを高めます。
⑤アナリティクスを活用した最適化
ポータルサイトの利用状況や代理店の行動を分析することで、エンゲージメント向上のヒントを見つ けることができます。アナリティクスを活用して、どのコンテンツや機能が効果的であるかを把握 し、最適化を進めましょう。
⑥代理店とのコミュニケーションの促進
代理店同士や企業と代理店の間でのコミュニケーションが活発に行われることで、エンゲージメント が向上します。フォーラムやチャット機能を導入して、情報交換や質問ができる環境を作りましょ う。また、定期的なミーティングやイベントを開催して、代理店同士の交流や学びの機会を提供する ことも有効です。
⑦オンライン研修やウェビナーの提供
オンライン研修やウェビナーは、代理店ポータルサイトのエンゲージメントを向上させる効果的な手 段です。研修やウェビナーを通じて、代理店は製品知識や業務スキルを習得できるため、自信を持っ てビジネス活動に取り組むことができます。また、オンライン研修やウェビナーは、時間や場所の制 約がないため、個々の代理店担当が自分のペースで学ぶことができます。
オンライン研修やウェビナーを提供する際には、以下のポイントに注意しましょう。
●コンテンツの質を重視し、最新の情報やトレンドを取り入れた研修を提供することが重要です。代理店が価値ある情報を得られる研修を提供することで、エンゲージメントが向上します。
●研修やウェビナーは、ライブ配信だけでなく、録画されたものをアーカイブとして提供すること で、個々の代理店担当者が自分の都合の良いタイミングで学ぶことができます。また、繰り返し視聴することで、理解度を深めることができます。
●オンライン研修やウェビナーの進行中に、質問やコメントができるようにすることで、代理店とのコミュニケーションが促進され、エンゲージメントが向上します。また、研修やウェビナー終了後にアンケートやフィードバックを取ることで、コンテンツやサイトのニーズを把握や改善することができます。
⑧ポータルサイトの定期的なアップデートと改善
ポータルサイトのエンゲージメント向上には、定期的なアップデートと改善が不可欠です。最新の情 報や機能を提供することで、代理店のニーズや要望に応えることができ、代理店が継続的にポータル サイトを利用するインセンティブも生まれます。
ポータルサイトの定期的なアップデートと改善には、代理店のフィードバックやアンケート結果を元にユーザビリティやデザインの最適化も含めて行うことが重要です。代理店からの意見や要望を取り入れることで、より代理店のニーズに適した、使いやすく、見やすいポータルサイトになります。
注)参考にした資料や出典は以下です。
●(株)才流/パートナーサクセス(株)「パートナービジネス立ち上げ ガイドブック」 ●(株)パートナープロップ「お役立ち資料」
●パートナーサクセス(株)「サブスクリプション時代の新たな代理店戦略」