メルマガ活用を考えるシリーズの2回目です。
「マーケティングコミュニケーション」視点で考えます。
3.企画制作・運営の流れ
【ステップ1】 基礎設計する
1)目的と目標の確認
目的は、大きく以下の5つが考えられ、どれかを決めて効果のありようを判断します。
①認知やブランディングを行なう(商品認知やHPへの流入など)
②新規顧客の獲得(リードや問い合わせを増やすなど)
③販売チャネル接点の強化及び見込み客の育成(提案情報提供やセミナー実施など)
④既存客のリピート(品揃え提案など)
⑤既存客の離脱の防止(ロイヤリティの構築)
目標は、リード(個人情報)獲得数、お問い合わせ件数、セミナー参加者数などの数値目標を決めます。
目標にこだわり過ぎると、ただの売込みになってしまうので注意が必要。ひとつのメルマガでひとつのテーマ、例えば、月に4回配信だと、新商品のお知らせ、販売提案情報のお知らせ、セミナー案内、販売コンテストやキャンペーンなどのお知らせを行います。
2)自社分析
業界での位置づけの中で、事業をいかに成長させるか、デジタルで何ができるのか、そのひとつとして、メルマガにどういった目的と機能を期待するかを位置づけることが重要です。
競合他社と比べた自社の強みは何か、弱みは何か、ターゲットはどこにするか、どんなメリットを与えられるのか、自社商品でなければならない理由は何か、などを自問自答して、心に刺さる切り口(コンセプト)をひねり出します。
3)ターゲットの設定
BtoBの場合、情報を集める人、社内稟議書を書く人、購入決裁者、商品を実際利用する人などの幅広い関与者の悩みや興味関心ごと、意思決定の判断基準などの具体的な深層心理をイメージしてターゲットを設定します。役職や立場の違いなどで、反応するコンテンツが異なりますので、具体的なプロフィールをイメージしたターゲット(これをペルソナとの言います)を設定します。
そのうえで、見込み客全員に同じ内容を送るのではなく、イメージしたペルソナごとに欲しいであろう情報を適切なタイミングで送ることで、見込みランクを上げます。
注意したいのは、ペルソナがあやふやになるとコンテンツの軸がなくなり、訴求が弱くなるとともに、直接的に競合する他社と差別化しにくくなるためです。
(ターゲットを絞らないと、誰にも興味を持たれないことになります)
マーケティングオートメーションが活用できれば、ターゲット・セグメントごとにメール内容のシナリオをつくり、回数や内容を臨機応変に配信、あらかじめスコアリングされたコンンテンツの履歴度によって、有力客には営業アプローチを行うことができます。
4)ネーミングを考えます
ネーミングは、途中で変更できないわけではないですが、せっかく定着した後は避けるべきです。開封してくれるようになるには、毎回同じタイトルで定期的に届くからであり、できるだけ覚えてももらい記憶しやすい、そこ企業や訴求する商品、コンセプトを想起できるユニークなネーミングにこだわりたいです。せめて、そのネーミングだけを見て、商品やその特長を感じさせるものがいいといえます。
5)シナリオ設計
認知・理解・興味関心・比較検討~購入に至るまでの各段階ごとのお客さまの心理の流れとコンテンツの流れを「カスタマージャーニ―マップ」として設計することで、どういった段階でどういった用意できるか否かを整理します。それぞれの段階で訴求するコンテンツが社内外でどれだけあるのか、デジタル施策の成功の最大重要な要素がコンテンツと言えます。
よくある相談では、顕在客向けの比較検討コンテンツは日頃の営業提案活動で活用しているので充実しているが、潜在客向けの啓蒙や気付きを与えるコンテンツが不足しているケースが多くあります。
もし、コンテンツが不足している場合は、メルマガはおろか、MA(マーケティングオートメーション)、集客サイト(オウンドメディア)などのデジタル施策は成功しません。販促施策やツールに関連してコンテンツを企画制作することが有効で、全社的なマーケティング活動に相乗効果を出します。
社内外の施策やツールを探し出し、必要により開発します。これにより、潜在層向けのコンテンツ、顕在層向けのコンテンツを掲載し、適切なタイミング配信することで、見込み客に育てることが出来ます。
(ネクストでは、長く販促支援を行なってきた点で得意としております)
【ステップ2】 原稿を作成する
1)メールの目的・目標とターゲットを確認する
メール配信の目的・目標数によってターゲット(セグメントされた配信リスト)も、毎回、異なります。
2)原稿の作成
原稿は以下で構成されます。
①メルマガの名前や号数、会社名などの「ヘッダー」、タイトル周りのデザイン
②挨拶や内容説明などの「リード」
③ボリュームがある場合は「目次」
④「本文」と「添付資料」
⑤発行者の名前やお問い合わせ、メルマガ解除、配信履歴一覧、フォームへのリンクなどの「フッター」
3)原稿作成上の注意点
▢読まれる件名とは?
1)「役立つ」ことを言う
2)「具体的」に伝える
・だれがつくったか
・どんな特長があるか
・どんな人が使っているか
・どういった効果があるか
・どの程度喜ばれているか(実証)
3)「緊急性」を伝える(「役立つ」と併用する)
・3日間限定で〇○が手に入ります
・新鮮な・・・が先着〇○名
・高級スーツが〇○%割引
4)目立つタイトルまわりの記号を使う
★やびっくりマーク、鍵カッコなど
▢掲載コンテンツは?
どんなことに悩んでいるのか、どんな情報を望んでいるのか、送信するターゲットが「知りたい、欲しい情報が来た」と思ってもらう内容です。また、自社との信頼関係を築くことがすべてのベースです。
「メルマガ」はラブレターにたとえられます。「あなただけ」のように見えることで、開封率が上がります。そういった意味では、トピックやコラムのような、商売色のないコンテンツがあった方がよく、機械的にならず人間味ある対話をメールでも行うことを忘れてなりません。
▢素材はなにか?
・商品情報(新商品や基礎知識・用語集、専門知識)
・社内外の人物の声(商品開発者、現場営業担当、幹部、コールセンター、研究所、オピニオンリーダーなど)
・PRやIR資料/プレスリリース
・業界ニュース(業界誌タイアップ)
・販促とイベント施策(キャンペーンやコンテスト、展示会/自社や協賛型、共催セミナーの案内)
・HPの新着掲載の内容(カタログや商品情報、動画へのリンクなど)
・ブログ記事や動画(需要喚起)
・販売のお役立ち情報
業種や業務別、課題別、用途別、規模別、新規および既存ニーズ別の販売施策/提案ノウハウ/ツール
・採用された事例(面談やオンライン取材)
販売成功事例/お客さまの購入の声/選ばれた理由/社内事例/ケーススタディ仮説
・販売の実績(外部評価/内部評価/実績一覧)
・データ集(リサーチ結果やレポート/比較競合データ/モニターデータ)
・診断・チェックリスト
・FAQ(よくある質問:営業やコールセンターの活用)
・メール会員の活性化ならクイズやアンケート、キャンペーンなどの特典、座談会などが考えられます。
・営業からの問い合わせに対する回答(コールセンターの活用もあります)
▢特に、忘れてはいけないこと
実際、どこも似たり寄ったり代わり映えのないコンテンツになるかもしれませんが、自社だけの、唯一無二となるコンテンツがあります。
それは、世の中にひとつしかない、事例と人物に焦点を当てるということです。巷にあふれ、売らんかなの企業や商品主観目線ではなく、利用者側の主観的なストーリーに深堀することです。
例えば、よくある商品PRや販売事例などは、関係する社内外の人物に焦点を当てることで、このように変わります。
・カタログ的な商品特長⇒販工店やエンドユーザーに選ばれた理由
・商品発売情報⇒なぜ、誕生し発売し、どんな市場ニーズに応えるかの意義
・商品開発情報⇒商品誕生の秘話や提案活動の反応と様子
・販売実績⇒うまくやっている販工店の販売した経緯や結果を社名入りで公開
▢そのほかの注意点は?
①件名は、全角で25文字、スマホ対応にするなら20文字以下にする
②本文は30~35文字で改行する
③わかりやすくシンプルな文章にする
④読者に希望する行動を極力ひとつにしぼり、明示する
⑤誠意が大事。適切な編集者の個性も入れる