キラーコンテンツ「顧客事例」コンテンツとは?
事業拡大の成功には、市場・業界や必要なマーケティングの知見とそれを具現化できるコンテンツ企画制作力が重要です。
そのコンテンツの中でも、顧客事例、例えば、販売店の販売事例やお客さま採用事例は顧客自身の「自分化できる」事例ですので、どんな対象者にも必ず喜ばれる顧客目線最高のコンテンツといえます。
しかし、多くの企業さまのホームページや商品ページを拝見しても、顧客事例が豊富で、定期的に公開できているケースは少ないようです。
顧客事例は、ブログ記事やホワイトペーパー、動画、ウエビナー(Webセミナー)などに企画展開することで、より幅広いターゲットの閲覧ニーズのタイプや購入意向に応じてリードの獲得から成約まで機能することができます。
本記事では、顧客事例の位置づけや活用の目的と集め方、配信方法について、シリーズで考えてみます。第1回は、「顧客事例の位置づけ」について考えます。
1.「顧客事例」は、顧客目線最強のキラーコンテンツ
インターネット技術の普及により、製品やサービスを購買する際には、ネット検索やSNSでの情報収集や比較検討が常識になっています。
また、購入ユーザーの声「レビュー」や「クチコミ」は不可欠になっているBtoC市場と同様に、BtoB市場に於いても、企業や団体などの組織の購買では、顧客導入事例が重視されています。
「顧客事例」コンテンツは「顧客事例」の他、「ケーススタディ」「お客さまインタビュー」など、いくつかのタイプがあります。
購買・導入した顧客への取材・インタビューに基づくコンテンツであり、特に、カタログ的な紹介記事やサービスの仕様を読んでもわかりにくい商材やサービスについては、第3者の客観的な視点での評価を知りたくて「顧客事例」コンテンツを検索されることが多いといえます。
顧客事例では、売り手である企業ではなく、お客様の生の声として紹介され、実際に抱えていた問題点や課題解決への模索、製品やサービスの情報収集、比較検討や選定時の評価ポイント、購入の決め手などが語られます。そして導入した後に、課題が解決できたのか、誰が、どのように活用されているのか、定量的、定性的な効果なども含まれます。
「いま抱えている課題と同じだ」「同じ業界だから、うまくいきそうだ」など、顧客事例がそのまま、買い手が自身の立場に置き換えて読み進める過程でそんな気づきを与えられたら、顧客との距離は、もう、その時点で縮まっていることになります。その意味では、顧客事例は、お客様が求めていた「価値」と自社だけが提供できる「価値」が一致した顧客目線最強のキラーコンテンツといえます。
2.「顧客事例」は、受注を呼び込むコンテンツ
一般に、BtoB企業のお客様は、自社の課題を解決するための情報取集は熱心ですが、それ以前である、そもそも課題に気が付かなかったら情報取集を始めませんし、また、課題に気がついたとしても、課題解決に必要な情報を提供しなければ、そこでストップ、お客様の検討段階までには至りません。
また、多くのお客様は常日頃から能動的に課題を認識して、その解決に向けた情報収集をしているわけではありませんので、「課題」を認知する「きっかけ」や「刺激」がないと、課題を認識しません。
逆に言えば、「きっかけ」や「刺激」を起点に、そのテーマやトピックに関する情報をキーワード検索やSNS検索、動画検索させることができれば、課題を認識させ見込み客化することができます。
Webサイトを訪れるユーザーは、課題だけ抱えていたり、商品サービスに興味を持っていたり、真剣に検討しているユーザーなど幅広い検索意図をもっています。その中でも、顧客事例ページを訪れるユーザーは、理解や比較検討の段階にあるいわゆる、顕在ユーザーが多いと考えられます。
「顧客事例」コンテンツは利用・活用のイメージを喚起したり、導入について社内での稟議を行う際の参考にしたりという目的でユーザーに閲覧されるコンテンツです。そのため、資料請求や無料トライアルといった無料CVのCVR(アクション数/総ユーザーの比率)は、顧客事例を見ていないユーザーよりも顧客事例を見たユーザーの方が高いといわれています。
参考)CVユーザーの約40%は「事例」ページを閲覧している(ミエルカ調査)
顧客事例を上手く使い分ければ、『受注につながるコンテンツ』として長期的に活用できます。実際、他社の製品やサービスも比較検討された結果、自社の製品やサービスが選ばれ採用された事例を自社の商品・サービスの生のお客様の声として紹介すれば、かなり説得力が出てきます。
特に、導入までの意思決定フローが複雑で口コミが生まれにくいBtoB製品・サービスにとって「顧客事例」は、実際に商品やサービスを利用した顧客の声なので、特に、理解や比較検討の顧客ニーズの段階で読まれることが多い貴重な情報源です。特に選定ポイントや選定理由が重視される「稟議申請」の段階では最も参考にされ、成果を伝え、引き合いや受注を呼び込むコンテンツになります。
3.「顧客事例」作成の優先度を上げ、事業拡大を図る
顧客視点が重要だと言われ続けているのに、その顧客視点の代表コンテンツである「顧客事例」の質と量の不足は、HPやWebサイト(商品ページ)、販売支援サイト、オウンドメディア、メルマガなどに生かし切れていない企業さまは多いように思います。
顧客事例を増やせない原因には、事例を作成する時間がない、取材で何をインタビューしたらいいかわからない、取材専任ライターがいないなどが考えられますが、そもそも、基本的には、事例を集めることができないことにあるのではないでしょうか。
また、取材先の選定や了解、取材記事の作成、公開までの手間、費用などの問題で大事なコンテンツがつくることができずに、また、デジタル施策の中でコンテンツ不足になっているため、ターゲットの興味関心や比較検討に結び付けられず、価格競争に巻き込まれて疲弊している企業さまが多いのが現状なのではないでしょうか?
特に、購入段階一歩手前の比較検討段階の層にとって、商品・サービスを導入することでどんなメリットがあるのか知りたいもの。そのニーズを満たすために、顧客事例をブログ記事の他、ホワイトペーパー、動画、ウエビナーなどの、ターゲットの嗜好によって複数にコンテンツ化することも不可欠です。具体的な問題点や課題、導入後のイメージを想像できたり、写真や図解を使ってわかりやすい解説もできたりするため、意思決定のための背中を押すコンテンツになります。
商品やサービスの選定ポイントや最終的な購入の決め手、その後の導入利用状況が含まれていれば、課題解決のために情報収集しているお客様にとっては価値になります。同時に、また、営業部門も顧客事例を使って「実際にこうやって使っているんですよ」と製品紹介を行うことで、お客様に課題解決のソリューションをイメージしてもらいやすく、契約にも繋がりやすいと言え、顧客事例が、営業マンの代わりになって、製品やサービスの強みやバリューポジションを説明してくれることにもなります。
お客様の課題に応える顧客事例制作は手間と時間を使う仕事ですので、実際の現状を見ます、どの企業さまでも同じように顧客事例の強化に取り組んでいるわけではありません。逆の意味では、自社商品の訴求強化及び競合他社との差別化徹底の点で、ぜひ、他社に先駆け、または、他社に劣らず、顧客事例作成の優先度を上げ、実際のお客様が課題を解決した実例「顧客事例」コンテンツを強化し、事業拡大を図るコンテンツマーケティング戦略とすることをお勧めします。
顧客事例は、コンテンツ自体が顧客視点のため、読み手の企業にとっての「自社と同じような会社が、自社と同じような課題を解決した」事例です。同じ業種、同じ課題を抱える人にアプローチがしやすいですから、同業他社の課題解決の導入事例を通じて、「自社も同じことをやりたい」という問い合わせが着実に増えていきます。
そして、ある程度の顧客事例が蓄積されると、業種・業界別、採用商品・ソリューション別、課題別、規模別、エリア別などに整理分類することもでき、さらに、告知や提案などでのデジタルや営業の現場で活用の機会が増えることにつながります。営業戦略的には、どういった企業にアプローチしたいのか、そのためにはどういった事例をつくるべきか、さらに、どういったセグメント市場で事業拡大を図るのか、そのためには、営業活動のサポートとなる体系的なデジタル施策とコンテンツ企画などを計画的に進めることが重要になります。