作成するメリットと企画の考え方 顧客事例コンテンツ③【ネクストライク202号】

 「顧客事例」コンテンツを作成するメリットと企画の考え方

1.事例コンテンツ作成するメリットとは?

「顧客事例」コンテンツは、なぜ、顧客の購買に好影響を与えるのでしょうか。
企業さまの多くで「顧客事例」の少ないことが原因で、Webサイトの集客やお問合せに結び付いていない現状を考えてみて、改めて、「顧客事例」を作成することで得られる4つのメリットについて考えてみたいと思います。

1)企業や商品・サービスへの信頼性を獲得できる

直接の利害関係がない第三者の声、ユーザーの生の声で構成される「顧客事例」コンテンツは、見込度に関わらず、誰しもが受け入れやすい心理がはたらき、企業や商品・サービスへの信頼性の獲得に寄与します。

見込み客は、例えば、もし有名企業が使っていれば信頼感を、自社と同じ業界や規模、抱えている課題だと安心感を、知っている企業が使っているとわかれば親近感も持ちます。また、自社と同じ業界の企業であれば、自社の業界に関する知識も持っている、という期待も膨らみます。

2)商品・サービスの理解、比較検討、購入への後押しになる

「顧客事例」を知ることによって、見込み客は商品・サービスの導入が自社の課題を解決できる見込みがあるのか、どのような成果につながるのかなどを判断する機会になります。

その点で、「顧客事例」コンテンツは、自社に代わって、購入者の視点で商品・サービスの特長や効果を説明してくれ、商品・サービスのより深い理解や他社商品との比較検討、お問合せなどのプロセスを経て、購入への後押しを促進する有効な手段といえます。

最近は、カスタマーサクセスやブランディング、IRなどの一環の面でも、既存顧客に対する商品・サービスの利活用促進を目的として「顧客事例」を発信する企業も増えてきました。

3)決裁者を説得するときの決定的な材料になる

「顧客事例」コンテンツは、購買担当者が社内の決裁者を説得するときにも役立ちます。
専門的かつ高額で付加価値が高い商品・サービスの場合は、複数部門や担当者が検討・決裁者となり、また、それぞれの興味関心によって商品選びの基準は多岐にわたります。特に、新しい商品・サービスの導入には、費用対効果に加えて、取引先が適切かどうかを検証することが求められ、購買担当者にとっては大きな負担になります。

そこで、同じ業界や規模、課題を抱えている企業にアプローチする場合は、「顧客事例」を用意し、導入実績の参考資料として稟議書に添付したり、上司への説得や質問対策として活用することで、購入に至る障害を解決してくれることが期待できます。

サイトエンジン㈱が実施した『購買者から見たWebサイトに関するアンケート調査【2022年12月実施】』によれば、企業Webサイトのページのうち、最も購入につながっているのは「顧客導入事例」という結果が出ているようです。
「顧客事例」は、購買に大きな影響をもたらす、決定的なキラーコンテンツといえます。

4)検索エンジンからの流入が増える

BtoB商品・サービスの「顧客事例」コンテンツは、専門的でニッチな内容が多いため、自社技術の強みとターゲットニーズを分析することで、ニッチキーワードによる検索流入(商品ページの集客)が期待でき、「検索エンジン対策」、つまりSEO対策が有効となります。

技術優位なBtoB企業さまの場合、SEOの面で、セッション数やPV数といった値の「大きさ」に目を奪われがちですが、たとえ、検索ボリュームが少なくても、本当に自社のサービスや製品を必要としている、有効なリードにつながる「質」のよいコンテンツを用意してユーザーからのアクセスを増やすことが重要です。
ユーザーも検討を進める段階で、ニッチで専門的な情報を探してアクセスしているはずですので、新たな見込み客となります。

検索エンジンが、その専門性を高く評価するようになれば、検索エンジンからの流入が増え、結果として新規の顧客リード獲得の効率化にもつながります。そして、有効なリードが定期的・継続的に獲得できれば、他社メディアに依存しているWeb広告や展示会などの費用と時間、手間などをかける施策に比べて効率的で、費用対効果の適正化への効果も期待できます。

2.「顧客事例」コンテンツ企画の考え方

「顧客事例」コンテンツの企画に於いて大事なのは、「どんな効果を狙って事例コンテンツを作るか」という視点です。
「顧客事例」は、同じ業種、同じ課題を抱える人にアプローチがしやすく、効率的なことが特長ですので、狙ったターゲット(業種、課題)の「顧客事例」をつくることが重要になります。

同じような業種、悩みを抱えていた企業の導入事例を持っていき、「実際にこうやって使っているんです」と案内することで、「自社も同じことをやりたい」という気持ちが働き、お客様に課題解決のソリューションをイメージしてもらえ、コンペになりにくく、契約に結び付けることができます。
また、結果、実績を積み重ねることで、当該市場においての導入事例も増やすことができます。

「顧客事例」は、お客様が語ってくれるコンテンツでありながら、対象となる業界の担当者や同様の課題をお持ちの方にとって役に立つ解決策を提示してくれます。
販売店の販売事例にしても、お客さま採用事例にしても、「自分化できる」事例こそ、どんなお客さまにも必ず喜ばれ、最高のコンテンツとなります。

多くの企業さまで指摘される課題として、コンテンツ(ネタ)がないのでWeb集客ができていない、お問い合わせが少ない、定期的に発信できないのでメルマガの配信ができない、開封率が悪い、などの点で困っているとのお話があります。

どういったコンテンツをつくるべきか悩んだら、読んでいただいた方が「自社も同じようなことをやりたい」と思えるような「顧客事例」を作成し、そして、できるだけ数多くの市場で量的にも充実することをおすすめいたします。

また、たとえ、もし、同じような業種、悩みを抱えていた企業の導入事例でなくても、電話やメール、商談活動の中で、目の前のお客様の状況やニーズに合わせて、訴求ポイントを柔軟に変え、情報を加工して届けるなどして、成約に結び付ける努力を行うこともできます。

一般に、コンテンツ制作には費用や作成手間の負担がかかりますが、せっかく苦労して企画制作したコンテンツの幅広い流用は費用対効果が高いといえます。

その点でも、見込み客の心を刺すキラーコンテンツ「顧客事例」は、ぜひ、ホワイトペーパーやブログ記事、動画、ウエビナーなどの幅広いコンテンツにも展開し、最大限の効果を目指しましょう。