【早わかり】ネクスト流、オウンドメディア企画作法。【ネクストライク166号】

ネクストでは、「ネット活用」をご推奨しておりますが、必ずしも、どの会社さま、事業においても必須とは考えておりません。事業規模や将来計画、市場や商品、販売上の課題、差別性の有無などマーケティングコミュニケーション全体を考えた上で、本当に「ネット活用」が本当に必要なのか、どんな展開ならうまく行くのか、
何から始めればいいのか、を考えます。
「ネット活用」は必要であり、その中でオウンドメディアが位置づけられれば、本企画の意味が出てくることになります。コンテンツやネーミングなどの企画とWebを一体でお任せいただけるネクスト流オウンドメディア企画作法、弊社の企画フォーマットに沿って、ご紹介いたします。
なんらかのご参考になれば、うれしく思います。
(本ネクストライクは同117号から121号までを集約、加筆したものです)

〈目次〉

1.自社の基本戦略を考えます
2.オウンドメディアの目的と目標を設定します
3.コンセプトを仮設します
4.ターゲットを仮設します
5.ペルソナを仮設します
6.カスタマージャーニーマップを検討します
7.コンテンツマップを作成する
8.コンテンツを作成します
9.ネーミングを決めます
10.集客(アクセス)ルートを計画します
11.KGIとKPIを設定します
12.Webサイトのデザインを考えます
13.開設後の「分析と対策、運営」を考えます

1.自社の基本戦略を考えます
大きく、マーケティング要素である4Pを参考に下記の7つのカテゴリー項目を表側に、
問題点(障害となっている事実又は仮説)と機会(生かすべき事実と仮説)を表頭に整理して、
戦略の大方針は何か、を導きます。
この表の作成により、競合に勝つ、もしくは、新しい市場を創ることがどうしたらできるか、
そして、このオウンドメディアがどんな位置づけと役割・機能を果たし得るのか、マーケティングコミュニケーション課題の中で、考えます。
5つのカテゴリー項目で分析です。
1)市場
2)商品
3)流通
4)競合
5)広告プロモーション

2.オウンドメディアの目的と目標を設定します。
オウンドメディアの目的は、企業・商品の潜在ニーズを顕在化させることにあり、他の施策やツールとの
親和性(相乗効果)の高い極めて使い勝手のいいメディアです。
目的は、大きく3つあります。
1)企業・商品の潜在ニーズの掘り起し
2)企業・商品の指名
3)企業・商品のロイヤリティの育成(=ブランディング)

業界の問題点を解決し進むべき将来像を描いて社会的な存在となる「ソートリーダーシップ」
を目指します。
・5年、10年を見据えたあるべき姿を求める
・お客さまや業界にとっての理想を求める
・パイの取り合いではなく、パイ自体を太くする

そして、お客さまから真っ先に声をいただく企業や商品を目指す!

3.コンセプトを仮説します。
コンセプトを仮説します。
オウンドメディアでは、何よりも、読者の興味関心ごとであり、その領域が自社にとって強みを生かせると同時に、競合他社との差別化になりうるコンセプトが、成り立つか否かが、極めて重要になります。
オウンドメディアのお話が合った時、一番最初に考えることは、これです。
場合によっては、読者にとっては、些細な出来事であったり興味関心のないことであったり、
一方、企業・商品的には、他社差別的な点がないなど、そもそも、オウンドメディアそのものが失敗する
背景が備わってしまっているケースも実際あります。
コンセプトが成り立つか否かは、業界や企業、商品力、商品カテゴリーによって変わります。
※詳しくは、「オウンドメディア業界・企業研究」をご参考ください。https://jmnexst.co.jp/category/ownedstudy

4.ターゲットを仮説します。
ターゲットを仮説します。
コンセプトで考えた5W1Hに基づいて、「じゃ、どんな人をターゲットにするの?」を考えます。
社内資料のほか、社内や購入者への取材など含めて、グループワークも行いながら、ターゲット像を仮設します。

5.ペルソナを仮説します
ペルソナを仮設します。
従来の見込み客をグループ化したセグメンテーション(市場の細分化)とは違い、
ある特定の人物像、ペルソナを仮設します。
抱えている困りごとや希望、夢などを明文化することで担当者間で共有でき、
以降のステップに進みやすくなるメリットがあります。
ペルソナの仮説には、できれば、ユーザー事例や取材、営業やコールセンターからの情報から
現在の顧客の絞り込み、設定することから始めることが理想です。

6.カスタマージャーニーマップを検討します。
お客さまの心理や行動に対する包括的なアプローチが出来るようにする必要があります。
ユーザー目線で、「認知」から「興味関心」「理解」「比較検討」「購入」「リピート・紹介」までの
ストーリを描き、それぞれのステップで、なにに困っていて、なにを解決したいと思って、どうなりたいと希望しているのか、その深層心理、行動、チャネル(リアルな現実とWeb媒体)とタッチポイント
(物を含むコンテンツ)は何なのか、そして目標評価項目を考えた、「一覧表」をつくります。

7.コンテンツマップを作成します
ネクストでは、企業や商品のブランディングと購入に結び付くか否かの2軸でコンテンツアイデアを作り、それをWebプランナーやエディターとの打ち合わせに活用します。
その際、競合を意識する場合は、ターゲットや商品のポジショニングマップを作り、独自の差別ポイントが探し出します。
グループワークを通じて、大きくコンテンツを分類する(カテゴリー)ことから始めて、相応するテーマを
検討、オウンドメディアの開設時及びそれ以降の毎月のコンテンツ概要を決めます。

8.コンテンツを作成します
まず、上記で想定したペルソナが、どのような情報を欲しがっているのか、
どのようなキーワードで検索しているのか、を調べます。
その上で、どんなコンテンツがいいのか考えます。

1)ペルソナをもとに、検索キーワードを調査する
カスタマージャーニ―マップを利用して、ペルソナが何を考えどう行動するのか、深層心理を想像して、考えます。また、HPの検索窓にキーワードを入力すると、”サジェストキーワード”が表示されます。
同様に多くの人が入力したキーワードが一覧で出てきますので、このキーワードは活用したいものです。

2)キーワードを整理・分類する
キーワード一覧が出たら、キーワードを含む複合語の検索ボリューム(検索の実績)を調べ、その中から、
ペルソナが共感しそうな、これは、と思うキーワードをさらにリスト化します。
多くの検索ボリュームは望めませんが、ロングテールキーワードと呼ばれ、購買に近い層を呼び込める可能性が高いと言えます。

3)具体的にコンテンツを作成します
コンテンツマップで示されたコンテンツ案をベースに、具体的な記事を考えます。
カテゴリーから考えると、アイデアが湧きますし、バランスのとれた体系にして、たとえば3カ月単位に記事を計画し、当月の記事を作成します。

例)
□お役立ちノウハウ ・・・ 困っていることについて解決できる、もっと楽しくなる記事
□商品情報
□プランや提案サポートツールの紹介
□取材事例・・・・ 販売(店)事例やユーザー事例
□著名人や専門家からのアドバイス・ヒント・アイデア
□Q&A
□アンケート結果
□有名人インタビューや座談会・・ 複数の顧客や販売関与者
□比較参考資料
□用語集
□社員の開発・販売活動の紹介
□日本国内外の事情
□まとめ記事・・・ 自社独自のまとめ記事
□用語解説
□FAQ・・・・・ユーザーやコールセンターから得られる質問と回答
□人のストーリー・・開発や販売、創業、採用・評価、表彰物語など
□診断・チェックリスト
□面白記事(やってみてTRY,面白体験)
□サイト内の読者間のコミュ二ティ掲示板
□人気記事ランキング
FacebookなどのSNSやメルマガを活用することでコンバージョンを増やすことができますが、
にも効果を発揮し、検索流入につながります。
□調査コンテンツ
メリットは下記の通りで“調査の結果”というコンテンツを生むため、知識やライティングノウハウが不要。
独自データであるため、他のコンテンツとの差別化、業界の調査結果や独自のアンケート結果をレポートとして、プレスリリース配信することができる。
これにより、メディアに取り上げられ、流入だけでなくコンバージョン獲得も可能になりますし、FacebookなどのSNSにも効果を発揮し、検索流入につながります。
ひとつの調査コンテンツで多くの実りを獲得することができるのです。
【特にB向け】
□商品マニュアル・販売マニュアル
□キャンペーンや作品・販売コンテスト
□販売成功の事例とツールの紹介
□店舗評価制度
□アプローチシートなどの提案資料・ツール
□施工説明書(動画)
□セールストーク集
□新商品発表会・商談会
□研修会
□メルマガ
□定期情報誌

.ネーミングを決めます。
自社の強みやブランディング、競合対策などを意識した名前を考えます。
このとき、単なるネーミングの面白さだけではなく、ペルソナ(ターゲット)にリマインド(記憶)されやすく、ターゲットメディアになるよう考えます。

10.集客(アクセス)ルートを計画します。
コンテンツを充実させた上で、集客方法を考えます。
コンテンツが充実していればこそ、ターゲットはそのサイトに何度も訪れてきて、やがて育成されて、
検討~購入してくれます。
1)開設時に始める広告は、
まず、自社が扱う商品はSNSと相性がいいのか、果たしてSNSを使っているのか、自社の営業プロセスで
連動させることができるのか、カスタマージャニーにマッチするのか、総合的に判断します。
ターゲットがコントロールでき、低予算で開始できるSNSから始め、費用対効果を合わせる感覚を身につけます。
また、ネクストの「マーケティングコミュニケーション」視点で考えると、Webだけではなく、メルマガ配信やWeb告知チラシの配布のほか、商談の現場での、たとえば、販売店自身のHP掲載や集客ツールでの活用、
商談時の話題提案、イベントやSRでの紹介なども有効です。
2)リスティング広告
検索エンジンの検索結果画面に表示される広告枠に、狙ったキーワードでピンポイントで、テキスト広告を掲載する方法です。
3)リターゲティング広告 (又はリマーケティング広告)
ユーザーが過去に閲覧したwebページに基づいて、関連広告を何度も表示させる方法。
4)アフィリエイト広告
個人のブログやメールマガジンなどと提携して広告を掲載してもらい、自社のサイトやサービスへと誘導する方法です。
5)そのほか・・・「まとめサイト」や「オピニオンリーダープログ」とのリンク、関係強化。

参考1)オウンドメディアはストック型のメディア、フェースブックはフロー型のメディアです。
検索されやすいコンテンツはオウンドメディア中心、検索されないコンテンツはフェースブックに掲載するなど組み合わせて掲載します。
参考2)特に、オウンドメディアの立ち上げ当初は、コンテンツをつくって公開しても、なかなか見に来てくれません。そのテーマに興味のある人が集まっているSNSで更新を追加したり、過去に作成した記事を、
イベントなどに合わせてシェアすることでコンテンツへ流入させることも考えます。
そのほか、他社が運営しているメディアへの寄稿やゲストブログ、共催セミナーなどで、自社だけではできない潜在層へアプローチします。
参考3)業界に関する調査やアンケートを実施した結果をリサーチレポートとして公開、プレスリリースとして配信することもできます。
参考4)いわゆるまとめサイトや著名人が運営するブログが増えています。メディア名と連絡先をリストアップしておき、プレスリリースなど送って関係づくりも大事です。
参考5)Webコンテンツを読まない、メールも開封しない方には、従来の印刷物などリアルな施策が有効です。

11.KGIとKPIを設定します。
コンテンツマーケティングの目的であるKGIはリード(メルアドや連絡先)の獲得」
「比較検討・KPIはそのためのプロセス評価指標になり、たとえば、下記のようになります。

1)認知については
①検索流入数、ユニークユーザー数
②ページビュー
③キーワード順位
④滞在時間(読了率)
⑤Web広告のクリック数
⑥SNSフォロー数
⑦直帰率、離脱率
2)興味関心理解については
①メルマガ登録数
②資料DL数
③滞在時間
3)比較検討については
①商品やサービスなどのスペックページ訪問数、資料DL数
②SRや販売店への予約問い合わせ数
③プランやシュミレーションのDL数
④滞在時間、離脱率
⑤見積り件数
4)購入・問い合わせについて
①問い合わせページ訪問数、離脱率
②問い合わせフォーム完了数/率
③購入ボタンのクリック数

12.オウンドメディアのデザインを考えます。
BtoBの読者は「必要なものを手に入れる」ためにだけサイトの見に来てくれていますし、また、何度も
リピートしていただきたいのですから、出来るだけ、豊富に用意されて安いテンプレートを使って作成するなど、シンプルでわかりやすいデザインで充分です。
特に、BtoBサイトの場合は必要以上に面白いデザインはいりません。
読者の興味関心を得る、コンテンツの充実と蓄積に投資する考え方に立ち、Webデザインに費用をかけるくらいなら、コンテンツに投資すべきと考えます。

13.開設後の「分析と対策・運営」を考えます。
オウンドメディアの成功ポイントは「コンセプトの設計」「コンテンツの継続作成」
に加えて、「分析と対策、運営」にあります。

1.「分析」について
大きくは、以下の6項目です。
1)チャネルごとの流入比率と推移を見る(グーグルアナリティクス)
2)どのキーワードで流入してきているか、を見る(グーグルサーチコンソール)
3)評価の高いページ・低いページはどれか、を見る
4)CVR/CV数を見る
5)CVや中間CVからの受注率・受注数の評価を見る
6)ギャップを知る

2.「対策と運営」について
1)「完璧」を求めても想定通りに運べるか、なかなか見えにくいのが実際です。
どんなに考えても、事前に100%はわからないし、どんなに時間をかけても、きっと、わかるまでは至りません。特に開設時は、仮説ベースで始め、運用するごとに精度を高め、ある程度のコンテンツが蓄積でき、
読者の動きが見えてきたところで、コンテンツを含むサイト全体の洗い直しを行なうことが、現実的です。
比較的低価格で始められ、効果検証するたびに対策と運用をしっかり行えれば、成果を出せるネット活用のメリットがそこにあります。
2)特に、開設時は、リスティング広告などの高額な広告に頼らずにサイト自身の魅力を核として、見に来ていただくことが理想ですし、あるべき姿です。たとえば、検索経由のユーザーは顕在客、SNS経由のユーザーは潜在層と言えそうですが、それぞれの層をいかにコンバージョンさせるか、その動線「成功パターン」を
トライ&エラーで検証して発掘するかがポイントです。
3)お客さま心理をいかに取り組み、段階的に”その気にさせる”ことに集中して考えることが大事です。
とかく、いろんな手法やデータが出てくると、それに振り回されて、なにの、どこを見て、どう判断して、
どう対策を打てば、どうなる、だから、このくらいの目標に行けるだろう・・・と考えても、なかなか、うまくいかないのではないでしょうか?
頭でっかちに考え、だんだんややこしくなって、段々、なにをどうすればいいのかの大方針がつかめなくなる。
木を見て森を見ず・・・に。
手法やデータは、サブツール、メインツールは、我々の頭です。
データを見る前に、自分なりの仮説を立てて、出てきた手法・データの「思い通りな点」と「意外な点」を整理し、その上で、部分的ではなく、全体視点で打ち手を考えます。

参考1)対策チェックリストの例
①企画上のこと
□ペルソナの設定が出来ているか
□カスタマージャニーのチャネルとタッチポイントは網羅されているか
□実際の商談の場でも活用される工夫はされているか
□メルマガ配信、イベント・展示会、キャンペーン、などで告知を行なっているか
□「・・・なら、このサイト!」を目標とした企画になっているか
②コンテンツのこと
□お客様目線であるか
□定番的なものはあるか
□タイムリーなものもあるか
□SEOキーワードは適切か
□コンテンツの2次・3次利用はなされているか
□その企業・商品のキラーコンテンツはあるか
③効果測定のこと
□広告の見直し
□本質的な考え方は出来ているか
□経費としてではなく投資としての前向きな予算化は出来ているか
□仮説をもって対策を考えているか
□分析レポートは細かい数値より全体としてわかりやすい方向性が出ているか
参考2)ランディングページの工夫
そこに来た、ユーザーの深層心理にあった内容であるか否か、です。
コンテンツのストーリーが大切です。
1)ユーザーが気にするポイントを端的に指摘する
2)共感を得る流れをつくる
3)こうすれば、どうかという解決方法を伝える
4)裏付けや証拠を示す
5)いま、どうぞ、と背中を押す
参考3)マーケティングコミュ二ケ―ション視点を忘れない
オウンドメディアは、コミュニケーション手法のひとつです。
全体的な施策との連動の中で、どう、このオウンドメディアを生かすか、
マーケティングコミュニケーション視点で考えることで成果を出します。
たとえば、イベントや研修会、商談の場、メルマガ、定期情報誌、キャンペーン、販売コンテスト、
セールスツールなどのコンテンツの流用や告知を行うことも考えられます。
特に、入手した事例はキラーコンテンツであり、多角的に活用すべきです。
ネクストは、オウンドメディアの本質を知り、それを、生かします。

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