新たな「デジタル施策」の社内申請は、どうすればいいか?!【ネクストライク163号】

広告やセールスプロモーション、そして「デジタル施策」は、その企業、その市場や商品、ご責任者の考え方によって、戦略の考え方と優先順位は異なります。
必ずしも、「デジタル施策」は、絶対、必要というわけではありません。
いま、”問題点”が存在していないという認識であれば、「デジタル施策」そのものを検討する必要はまったくありません。

では、新たに「デジタル施策」を採用されている背景には、どんなことがあるのでしょうか?
私たちの経験では、大きく2つの特長があるよう感じています。

一つ目は、上層部(事業部長以上)自らが、積極的な推進役となっている点です。
視点の違いと言ってしまえばそれまでですが、自社の置かれた位置とこれからどうすれば問題点が解決するかを
熱心に悩み考えている責任者の存在が欠かせません。
責任者としての条件、ビジョンとリーダーシップがあればこそ、事業はうまくいきます。

もう一つは、組織力があるか否かです。社風と言ってもいいかもしれません。
組織力とは、本社の声がどれだけ現場に届き、現場の声がどれだけ本社に反映されているかの程度の問題です。
毎年、1年の施策の効果がどうだったかの見直しをしていれば、毎年同じ施策を繰り返すマンネリはないはずですが、実際はそうではないところが多いのではないでしょうか。
ある程度、担当責任者に任されている企業、事業部長クラスの了解が必要な企業、社長や役員の決裁が必要な
企業、誰も責任(役割)を全うしない無責任企業・・・

次に、社内申請の方法を少し考えてみたいと思います。

1.現状の問題点を社内で共有する
現場はこういった問題点があり、それを解決しないと、会社や事業部にとって、これから大きな損失になるとの認識をインフォーマル(非公式な交流)で打診し共有することで、根回しします。いきなり書面で、会議で決裁と言っても関係者の認識や部署間の役割に限界があり難しいようです。

2.「デジタル施策」提案書を作成して、説得します。
1)みんなが気づいていない点(問題点)を指摘します
たとえば、
①働き方改革やテレワークなどが徹底される企業が増え、メールやWeb情報はこれから
一層重要になりますが、それに対して、しかるべき対策は打っているでしょうか?
②現場営業(出先や営業)の声やユーザーの声は会社トップに届いているでしょうか?
改めて、提案と販売の現場を重視し、真正面からトップが気づいていない(知ってほしい)点を指摘をします。あるときは、社内の声より社外の声が強い場合があります。
③競合他社情報や他業界の動向など、Webや業界紙などでもヒントとなる記事はたくさん掲載されています。
いつも気にしていれば、自然とそういった記事に目が行くものです。
2)それに対して、どういった考え方で解決しようと思うのか、を説明します
「デジタル施策」が情報収集の常識になっています。
いままで着手していなかったり、うまくいっていない場合は、その目的と達成へのシナリオ、社内とパートナーの役割分担などから考える必要があります。
(追加は、ネクストライクをご参照ください)

3)解決策の具体策を説明します
「デジタル施策」は従来の広告やSPにはない、新しい機能を有します。自社の課題に合わせ、どう考え、
何から始めるかを決めます。
4)期待される効果
「デジタル施策」は、中長期的にさまざまな効果が期待されます。
集客だけではなく見込み客づくり、成約増、社内資産の有効活用、販売関与者との接点強化、営業マンの側面
支援、費用対効果の見直し、他社差別化や競合位対策、新しいビジネスモデルの構築、社内デジタル化の推進の機会、働き方改革・テレワークへの対応、人材採用、企業や商品のブランディングなどなど、考えられます。
ひとつふたつの効果に絞るのではなく、マーケティング施策の全体像の中で、複合して位置づける
ことが大事です。
(詳しくは、ネクストライクをご参照ください)

5)予算とスケジュール
できるだけ、小さく(小予算)生んで、大きく(事業を)育てると考えます。
いきなり、大きな予算で高度なシステムを一気に導入すると、導入教育に負担がかかり、立ち上がりや運用に支障が出るかもしれません。また、もし、問題点が出た場合、どのシステムが悪いのかがわかりづらかったり、一部だけ修正することが難しかったりなども発生することもあります。その点、優先順位の高いシステムから導入することで、運用の精度が高まり、社内の浸透、体制の充実化も図れます。

3.プレゼンのテクニック(ご参考)
全体の流れは、「共感⇒信頼⇒納得⇒決断」になります。
イントロ、本論、クロージングの3点で、プレゼンに生かせるテクニック例を挙げてみました。
日頃の機会でも、ご参考ください。

【イントロ】
◇相手の興味関心事(売上や軽費節減、費用対効果の見直し、拡販シナリオなど)から話に入る
◇確実にYESと言ってくれる話題から入る
◇相手の気持ちを代弁する
◇サプライズを入れる
(結論を最初に言う、質問から入る、現場を活用する、あえて企画の弱点をさらすなど)
◇あえて欠点(マイナス)を先に伝え、それに無意識に反発する相手とプラス意識同士の関係にする
◇「数字☓質問」が最強のイントロ
【本 論】
◇ひとりひとりに話しかけるアイコンタクト
◇次の流れにちょうど合うキーワード(言葉)が出てきたら、オウム返しし相槌を打ち、流れを作る
◇「なぜそう考えるのか?」「どうしたいと考えているのか?」などの質問によって、
相手の思考の方向性を期待する方へ導く
◇相手のホンネを知ることで、一般論や建前をはぎ取る
◇身振り手振り、立ち座りの変化、話の抑揚(たっぷり沈黙なども)、効果的な問いかけ、目線、
◇相手の話を切り返すポイント(例)
・同じベクトルにするため、当初の目的に話を戻す
・相手の言葉に直接反応せず、問題の背景に話題を変える
・問題点をもっと絞るか、ほかの視点を指摘する
・上司を使う
【クロージング】
・何を伝えたいかより、何をしてほしいかを明確に言う
・キーワードを繰り返す
・宿題を出す
・名言を利用する

いかがでしょうか?
社内申請には神経を使い、資料作りや説明に苦心します。
自分は正しいことをしているんだ、という信念さえあれば、いつか、きっと成功するものと思います。

以下、ご参考ください。

やってみてうまくいく・・・・・・・ ベスト
やってみてうまくいかなかった・・・ ベター
何もしなかった・・・・・・・・・・ バッド
(エプソン)

10回新しいことをして9回失敗している。
これは、失敗していいということではなく、失敗を恐れてチャレンジしないことがダメということ。
(ユニクロ柳井社長)

・危機感なきところ、成長なし
・経営には、勇気が必要である。その勇気は、何が正しいかというところから生まれてくる
・100点満点の制度というものはない。7つ良くなれば、3つの欠点が出てくることはやむえない
・叱ってくれる人がいるということは、ありがたいことだ
・尋ねて尋ねて尋ねて、そして考えなさい
・熱意は人を動かす
(松下幸之助)